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(^_^)←この顔文字が最初に使われたのはいつ?

絵文字進化論第3回

■江戸時代の日本にも顔文字が

写真を拡大 図4 文字絵「へへののもへいじ」(1848) 出典:万亭応賀作「新法狂字図句画」『江戸時代庶民文庫8』p. 336.

 日本の顔文字の祖先も、少なくとも江戸時代まで遡ることができます。当時流行っていた遊びに、文字を組み合わせて物や人の輪郭に見立てる、「文字絵」というものがありました。ひらがなの「へのへのもへじ」の字を使って顔の形を作る文字絵がよく知られています。「へ」は眉毛で、「の」は目、「も」は鼻、「へ」は口、最後の「じ」は顔の輪郭です。1848年の資料にその姿を確認できます。遅くても19世紀前半には既に定着していたのではないでしょうか。

 ちなみに、現代の一般的な呼称は、「へのへのもへじ」となっていますが、図4にあるように、江戸バージョンには「へへののもへいじ」があったようです(近年でも、西日本などでは「へへののもへの」「へへののもへじ」という呼び方もあります)。「もへいじ」と「い」が入っていたのは、江戸時代には茂平次(茂兵衛治)さんがいたので、その名前がモデルになったのではないかとも言われています。

写真を拡大 図5 KUMONの車内広告 出典:2013年、筆者撮影

 表すという点は現代の顔文字と同じです。現代はと言えば、広告やゆるキャラのデザインでも、文字をキャラクターの目や鼻に見立てる例をよく目にします。例えば、KUMONの広告ポスターは、「国語」を平仮名で書いた「こくご」は、「こ」と「ご」は目、「く」は鼻となっていて、現代版「へのへのもへじ」と言えるでしょう。

写真を拡大 図6 まつど応援キャラクター「松戸さん」

 もう一つ、最近発見したのがゆるキャラの「松戸さん」です。松の「木」はちょっと薄めの髪の毛の部分、「公」は目と鼻、「戸」は口とひげ(かな? )になっています。目の形のせいか、私には少し悲しげに見えますが、日本人にはやさしそうで、そしてちょっと照れくさそうに見えるようです。松戸さんは、ツイッターのアカウント(@matsudosan333)もあって、顔文字化までされています。顔文字も、「松」の字をうまく分解して (木●´ム`●) とかわいいらしい形になっています。

 以上かけ足でしたが、まとめてみましょう。顔文字がデジタル上で広く使われるようになったのは1980年代以降。発想としてはそれよりもっと前からあった。ひるがえって現代になると、SNSやメッセージアプリで使われる顔文字だけではなく、ゆるキャラや広告の世界など、幅広く浸透しています。

次回はその日本と欧米をまたぎながら様々な顔文字の具体例を紹介していきます ;-)

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シャルコ・アンナ

1988年生まれ。ロシア、シベリア地方出身。地元の大学で日本語を勉強し始めたことをきっかけに、日本の文字文化に魅了され、国費留学生として来日。2012年に早稲田大学の大学院に入学して、笹原宏之教授の元で日本語の文字・表記について研究を続けてきた。ポルトガル人と国際結婚して、1歳の息子を子育て中。現在はイギリスに在住。


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